2009/12/02自立循環型住宅研究会のこれから

自立循環型住宅研究会のこれから
2009年12月2日
当会主宰 野池政宏

 今回のフォーラムでは私が話をする時間が取れないため、当会の今後について文書にまとめて読んでもらうことにした。

 最初に改めて述べておくと、本会に期待されているのは次のような内容だろう。
■実務に使える温熱環境や省エネルギーに関連した情報の収集
■自社の取り組みの評価(提供物件の分析方法の取得、実践の発表の場の存在など)
■営業やプレゼンなどに使えるツールの取得
■わが国の省エネルギー住宅に向かう実践者の集まりとして、社会的な影響力を持つ
■本会がメジャーになってくることにより、顧客獲得につながる
 活動を重ねるにつれ、こうした期待がより具体的なものとなってきていると感じ、その期待に応えられるようにがんばってきたつもりであるし、今後もその意識に変わりはない。個人的には非常に忙しい状況が続いており、さらに新たな活動(野池学校や暮らし向上型リフォーム研究会)も始まるが、以下に述べるようにますます本会は充実していくものと信じている。ただそれには現在のメンバーの能動的な姿勢、メンバー増強が不可欠である。今後ともそうした意識をもって一緒に本会を発展させていってほしい。
 
1.全体フォーラム
 これまで1年に2回のペースで開催してきたフォーラムだが、今後はこれを年1回開催とし、今回行われるアワードのプレゼンテイション、審査、受賞式というプログラムの方法を引き続き取っていく。
 アワードで募集する内容については、これまでのフォーラムでの事例発表と同様に「自立循環型住宅における省エネ評価と実測や調査との相関を見る」ということを基本にするが、これまでよりも幅を広げた事例発表の場としたい。

2.地域支部の活動
 今後もっとも強化したいのがこの地域支部の活動である。すでに関東支部が発足して活動を始めているが、ここでは来年上半期中に一般向けのセミナーを開催する計画である(この取り組みは地域紙部の活動としてとても意義があると考える)。会員は全国に広がっているため、年2回のフォーラム参加への費用負担や時間負担も大きく、また細かな情報交換もしにくい状況となっている。
 地域支部での活動内容について当会で制限を設けるつもりはなく、それぞれの支部独自での活動をしてもらえればよい。とくに立ち上げ時期には事務局や野池の協力も惜しまない。ぜひとも地域支部の立ち上げや参加を検討していただきたい。なお、関西支部(場合によっては西日本支部)の立ち上げは具体的に検討を始めており、その件については追って連絡する予定である。

3.自立循環型住宅の講習会、プロ向けの温熱セミナー
 当会が主催(もしくは共催)する形での自立循環型住宅の講習会(IBECが認める、テキストを使ったもの)やプロ向けの温熱セミナー等を全国で開催していただきたい。これが地域での自立循環型住宅を普及させ、また仲間(会員)を増やすもっとも有効な方策のひとつである。講師陣としては、私や坂崎さんはもちろん、会のメンバーには講師として魅力ある人たちがたくさんいる。こうした講習会やセミナー開催を地域支部の活動としてとらえるのもよい方法だと思う。

4.シミュレーションプログラムの開発
 すでに今春開発メンバー募集を行ったが、当会で「エネルギー消費量、光熱費、快適性」などをシミュレーションできるプログラムを開発していく予定である。すでに様々なプログラムが市販、公開されているが、こうしたプログラムは専門家の視点でつくられており、高価であることもあって使いにくい。そうした問題を解決しながら、ここで目指すのは「営業やプレゼンテイション、住まい手との設計打合せに有効に使えるプログラム」である。どこまでこの目標達成ができるかは不明だが、会員のニーズは高く、何とかよいものを完成させたいと考えている。なお、場合によってはこの開発を「住宅建築省CO2推進モデル事業」に応募することになるかもしれない。

5.住宅建築省CO2モデル事業への応募
 すでにご存知の通り、今年度の第2回目の募集に応募し、残念ながら落選した。会のアピール、会員へのメリット、研究開発費の捻出などを考えると、今後も応募に対して前向きな姿勢を取っていきたい。ただし、現在の「事務局(坂崎)+野池」の態勢では現状でも余裕がなく、すでに述べた地域支部の立ち上げや活性化、プログラムの開発、また次に述べる出版等のこともあり、どこまで対応可能かは正直なところわからない。

6.「自立循環研版 温熱環境を解く」の出版
 エクスナレッジ社で出版する運びになった。2010年8月出版の予定である。この出版に向けてのWG(ワーキンググループ)の募集もすでに今春実施している。様々に意味のある出版であり、よいものを世の中に出したい。

7.パッシブ技術研究
 自立循環型住宅の要素技術は次のように整理できる。
 
ファイル 115-2.jpg

これまで当会の活動は「基本性能と温湿度環境、省エネルギーとの相関を見る」ということが中心になっていたが、次のステップとしては「パッシブ技術の評価」が重要であることがこの表でも明らかである。実際、これまでのフォーラムでもパッシブソーラーへの関心は高かった。
もちろん高効率設備や創エネルギー設備も省エネルギーの観点からは重要だが、建築実務者がまず目指すべきは「省エネと心地よさとの両立」であり、その設計力を備えた上で設備の選択等に向かっていくべきであろう。
そうしたことを踏まえ、私個人としても最近はパッシブ技術に高い関心を寄せており、当会でもパッシブ技術の研究に能動的に向かっていくメンバーを集め、活動していきたいと考えている。とくにまず研究対象としたいのは太陽熱の利用(パッシブソーラー暖房)である。
実際の活動については、まずは何より実測データを収集したいため、様々な要素パターン(南面開口面積、Q値、開口部の断熱性、蓄熱性)の住宅での「成り行き(暖房なし)」の温度データを取りたい。このデータから、実際のパッシブソーラー暖房がどこまで有効なのかを探りたい。なおここでもっとも問題になるのが「蓄熱性」だが、とくに蓄熱を考えた住宅でなくてもよい。もちろん土壁の家も含め、一定の蓄熱量がある住宅のデータがいくつか揃えばうれしい。
パッシブ技術に関心があり、この研究グループに入ろうと考える人は「立候補(野池まで「私やります」と言ってください)」→「この冬からの温度測定」という流れになる。測定方法の詳細については私にご相談いただければよい。

※シミュレーションプログラム作成、並びに出版作業のWGについては新たなメンバーも歓迎します。

以上

 

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コメント: 1
  • #1

    Horace (日曜日, 22 7月 2012 10:43)

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